74.困難を相談できる先輩を見つける


2025.06.16 |投稿者:神内秀之介

介護の現場では、日々さまざまな困難に直面します。利用者さんとの関わり方に悩んだり、業務の優先順位に迷ったり、時にはチーム内でのコミュニケーションに壁を感じることもあるでしょう。そんな時、一人で抱え込まずに相談できる「信頼できる先輩」の存在は、とても心強いものです。しかし、どのようにしてそのような先輩を見つければ良いのでしょうか?ここでは、哲学的な視点を交えながら、その方法を考えてみましょう。

  1. 「観察する力」を磨く
    哲学者ソクラテスは、「知恵は観察に始まる」と語りました。相談できる先輩を見つけるには、まず職場の中での人間関係や先輩たちの働きぶりを観察することが大切です。

たとえば、周囲と円滑にコミュニケーションを取っている人や、利用者さんに対して丁寧で思いやりのあるケアをしている人をよく観察してみてください。また、業務を的確にこなしながら、後輩や同僚に自然と声をかけている先輩は、相談しやすい雰囲気を持っていることが多いものです。「誰が信頼できそうか」を見極めるためには、相手の行動や言葉に目を向ける観察力が重要です。

  1. 「敬意」と「謙虚さ」を持つ
    哲学者ラルフ・ウォルド・エマーソンは、「人間関係は敬意と信頼によって成り立つ」と述べました。相談できる先輩との関係を築くためには、まず相手に対する敬意を持つことが大切です。

たとえば、業務の中で先輩が行ったアドバイスや工夫に対し、「ありがとうございます」「こういうやり方もあるんですね」と素直に感謝や関心を示すことで、自然と心の距離が近づきます。また、「こんなことを聞いていいのだろうか」と躊躇せず、謙虚な姿勢で質問してみることで、相手も気軽に応えてくれるようになります。敬意を込めた言葉や態度が、信頼関係の土台を作ります。

  1. 小さな会話から関係を深める
    哲学者マルティン・ブーバーは、「関係は小さな対話から始まる」と語りました。いきなり重い相談をするのではなく、まずは日常的な軽い会話を重ねることが、相談しやすい関係を築く第一歩です。

たとえば、「今朝の天気が気持ちいいですね」「先輩、この間の記録の仕方、とても分かりやすかったです」など、軽いコミュニケーションを通じて相手との距離を縮めていきましょう。こうした小さな対話を積み重ねることで、信頼が深まり、「困った時に相談できる」という安心感が生まれます。

  1. 自分の「声」を大切にする
    哲学者ジャン=ポール・サルトルは、「人は自分の声を通じて、自分自身を表現する」と述べました。相談できる先輩を見つけるには、相手だけでなく自分自身の声を大切にすることも必要です。

たとえば、「このことで困っている」「自分がどのような助けを必要としているのか」を明確に伝えることで、相手も具体的なアドバイスをしやすくなります。自分の言葉で真摯に状況を説明することで、信頼を築き、相手に「助けたい」という気持ちを引き出すことができるのです。

  1. 失敗を恐れず、相談の一歩を踏み出す
    哲学者フリードリヒ・ニーチェは、「行動することが、すべての始まりである」と述べました。相談する時、「こんなことを聞くのは恥ずかしい」「迷惑をかけたくない」と躊躇してしまうこともあるでしょう。しかし、相手を信じ、一歩踏み出してみることで、新たな関係が生まれます。

たとえば、「この業務で迷っているのですが、どうしたら良いでしょうか?」と率直に聞いてみることで、意外とすんなりとアドバイスを得られることもあります。そして、その相談自体が、相手との信頼関係を深めるきっかけにもなります。失敗を恐れずに相談することが、困難を乗り越える第一歩なのです。

まとめ
相談できる先輩を見つけることは、介護の現場で成長し、安心して働くために欠かせない要素です。それは、観察力、敬意、日常的な対話、そして自分の声を持つことによって作られるものです。日々の中で少しずつ信頼を育み、困難に直面した時には、一歩踏み出して相談してみましょう。


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