43.ソーシャルネットワーク分析とケアプラン


2025.06.10 |投稿者:神内秀之介

「ソーシャルネットワーク」って、ケアプランにどう活かせる?

こんにちは、新人介護支援専門員の皆さん!
日々のケアマネジメント業務では、利用者さんの希望や課題に応じたケアプランを作成していますよね。その中で、「利用者さんの周りにはどんな人や組織がいて、どう絡んでいるのだろう?」と考えることはありませんか?

そんな時に役立つ考え方が、ソーシャルネットワーク分析です!これは、利用者さんを取り巻く人間関係や支援環境を整理し、活用するためのアプローチです。この分析をケアプランに取り入れることで、生活の質を向上させる支援がより効果的に行えます。

今回は、「ソーシャルネットワーク分析って何?」「どうやって活用するの?」という疑問に答えながら、実践のヒントをお届けします!


1. ソーシャルネットワーク分析とは?

ソーシャルネットワーク分析(Social Network Analysis:SNA)とは、人と人、または人と組織のつながりを可視化する手法です。ネットワークは「誰が誰とつながっているか」を明らかにし、つながりの強さや関係性の質を分析することができます。


① ケアマネジメントにおけるソーシャルネットワークの例
利用者さんを中心に、以下のような人や組織がネットワークを形成しています:

  • 利用者さんの家族(子ども、配偶者など)
  • 友人や近隣住民
  • 医療・介護の専門職(訪問介護員、訪問看護師、かかりつけ医など)
  • 地域ボランティアや自治会、サークル活動

② なぜソーシャルネットワーク分析が重要なのか?
利用者さんを取り巻くネットワークを可視化することで、以下の効果が期待できます:

  • 利用者さんの孤立を防ぐ支援策の発見
  • 支援の重複や不足を明らかにし、ケアプランを最適化
  • 手薄な部分を補える地域資源の活用が可能

2. ソーシャルネットワーク分析をケアプランに活用する方法

では、具体的にソーシャルネットワーク分析をどうやってケアプランに活かせるのでしょうか?以下の手順をご紹介します。


① 利用者さんを取り巻くネットワークを把握する
まずは、「利用者さんと誰がつながっているか」を整理することから始めます。

  • ヒアリング
    利用者さんやその家族にインタビューし、関係性やつながりの強さを聞き出します。
    • 「普段、誰とお話ししていますか?」
    • 「どなたが生活を手助けしてくれていますか?」

② ネットワークを可視化する
次に、利用者さんを中心としたネットワークを図(ネットワークマップ)にしてみましょう。

  • 利用者さんを真ん中に置き、家族、友人、近隣住民、専門職などを線でつなぐ。
  • 線の太さや形で、つながりの強さや役割を表すと分かりやすくなります。

③ 利用者さんの支援ネットワークの課題を探る
ネットワークマップを作成したら、どこに課題があるのかを見つけてみましょう。

  • 例:
    • 「家族が遠方に住んでいてサポートが手薄」
    • 「近隣住民とつながりがないため、孤立している」
    • 「医療と介護の連携が弱い」

④ ケアプランに反映させる
課題をもとに、ケアプランに改善策を組み込みます。

  • 例:
    • 孤立防止 → 地域のボランティアやサークルへの参加を提案
    • 支援の重複 → 家族と訪問介護員の役割を明確化
    • 医療・介護連携強化 → 定期的な多職種ミーティングを実施

3. 実践例:ソーシャルネットワーク分析を活用したケアプラン作成


事例:一人暮らしの75歳女性Mさんの場合

  • 背景:Mさんは一人暮らしで、日常生活に不安を抱えている。家族は遠方に住んでおり、近隣住民や友人との交流もほとんどない状態。
  • ケアマネの対応
    • ソーシャルネットワークマップを作成し、支援の手薄な部分を分析。
      • 家族とのつながり:年数回の電話のみ。
      • 近隣住民との関係:名前を知っている程度のつながり。
      • 医療連携:訪問看護は利用していない。
    • 孤立を防ぐために以下の提案を実施:
      • 地域のサークル(体操教室)への参加を促す。
      • ボランティアによる見守り活動を導入し、週1回の訪問を設定。
      • 訪問看護を導入し、健康状態の定期確認を開始。
  • 結果:Mさんは地域サークルで友人ができ、外出の機会が増加。家族もオンラインでMさんの状況を確認でき、安心感が向上。孤立が解消されただけでなく、生活全般の質が向上しました。

4. 新人ケアマネへのアドバイス


① シンプルなネットワークから始める
最初から複雑な分析をしようとせず、利用者さんの身近なつながりをシンプルに整理することからスタートしましょう。


② 地域のリソースを活用する
地域包括支援センターや自治会、ボランティア団体を活用して、利用者さんのネットワークを広げる工夫をしてみてください。


③ 利用者さんの声を大切に
ソーシャルネットワーク分析の根底には、利用者さんの「その人らしい暮らし」を尊重する姿勢が必要です。希望や価値観を聞きながらプランを作りましょう。


5. 今日のまとめ:ソーシャルネットワーク分析を活用するポイント

  • 利用者さんを取り巻く人間関係や支援環境を整理する。
  • ネットワークマップを作成し、つながりの強さや不足を可視化。
  • 課題に応じた具体的な対策をケアプランに組み込む。
  • 地域資源や多職種の力を借りて、支援の輪を広げる。
  • 利用者さんの希望を中心に据えた支援を実現する。

最後にひとこと!

「利用者さんを支えるネットワークを見える化することで、ケアの質がぐんと向上する。」

新人ケアマネージャーの皆さん、ソーシャルネットワーク分析は難しそうに見えますが、基本は「利用者さんのつながりを整理すること」から始められます。小さな一歩から取り組み、利用者さんが安心して暮らせる支援の輪を一緒に作り上げていきましょう!

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