67.経験者の良い習慣を真似る
2025.06.09 |投稿者:神内秀之介
介護の現場は、日々の業務をこなすだけでなく、経験を重ねる中で少しずつ成長していく仕事です。新人のうちは、何をどうすれば良いのか迷う瞬間も多いかもしれません。しかし、そんな時の第一歩となるのが「経験者の良い習慣を真似る」ことです。これは単なる模倣ではなく、学びの扉を開く大切な哲学的アプローチでもあります。
- 「学ぶ」とは「真似る」から始まる
哲学者アリストテレスは、「人間は模倣を通じて学ぶ動物である」と説きました。どんな専門的な技術や知識も、最初は他者を真似ることから始まります。介護の現場でも同じで、経験豊富な先輩の動きや言葉遣い、対応の仕方を観察し、それを自分の中に取り入れることが成長への第一歩となります。
例えば、利用者さんへの声かけのタイミングや、忙しい中での効率的な動き方――それらは先輩たちが長い経験の中で培ってきた「智慧」です。その良い習慣を真似ることで、介護職としての基礎を固めることができます。
- 「良い習慣」とは何かを見極める
哲学者ソクラテスは、「ただ真似るのではなく、良いものを選び取りなさい」と述べました。経験者のすべてを無条件に受け入れるのではなく、「何が本当に良い習慣なのか」を見極める目を持つことも大切です。先輩たちの行動や考え方を観察し、結果として利用者さんにとってプラスになっているかどうか、その視点を持って学び取ることが重要です。
例えば、利用者さんに安心感を与える笑顔や、周囲を巻き込むチームプレイの姿勢など、「これは自分にとっても役立つ」と思う要素を選び、それを自分のスタイルに活かしていきましょう。
- 模倣から独自性へ――哲学的成長のステップ
哲学者ルネ・デカルトは、「模倣は学びの出発点だが、そこから独自性を作り上げるべきだ」と説きました。つまり、真似ることは成長の第一段階にすぎず、そこから自分らしいスタイルを築くことがゴールです。
介護の現場でも、経験者の良い習慣を自分流にアレンジすることが求められます。たとえば、先輩が使っている言葉遣いをそのまま真似するのではなく、利用者さんとの関係性や自分の性格に合った表現に変えてみる。あるいは、先輩が工夫している動き方を自分の体格やスキルに合わせて改良する。模倣を超えて、自分自身のケアスタイルを磨いていくことが、プロフェッショナルとしての成長をもたらします。
- 良い習慣を真似る「謙虚さ」を持つ
哲学者ラ・ロシュフコーは、「謙虚さは学びの扉を開く鍵だ」と言いました。経験者の良い習慣を真似るためには、「自分はまだ学ぶべきことが多い」という謙虚な姿勢が必要です。時には「このやり方で良いのか?」と不安になることもあるかもしれませんが、そうした時こそ、先輩たちの背中から学ぶチャンスです。
謙虚な姿勢で経験者のアドバイスを素直に受け入れることで、より多くの知識や技術を吸収することができます。そして、その学びを自分の成長の糧として活かしましょう。
- 良い習慣の連鎖を作る
哲学者カール・ユングは、「行動は周囲に影響を与え、良き循環を生む」と語りました。経験者の良い習慣を真似、それを自分のものにすることで、やがて「その姿を見た後輩があなたを真似る」という良い連鎖が生まれます。つまり、あなたが学ぶ姿勢を持つこと自体が、現場全体の成長に繋がるのです。
介護の仕事はチームで行うもの。良い習慣を共有し、受け継いでいくことで、職場全体がより良いケアを提供できる環境になっていきます。
まとめ
「経験者の良い習慣を真似る」という行為は、単なる模倣ではなく、自分自身を成長させる大切なステップであり、哲学的な学びの姿勢です。謙虚に学び、良いものを選び取り、そこから自分らしいケアスタイルを築いていく――そのプロセスを楽しむことが、介護職としての成長を加速させる鍵となります。
