62.心に「余白」を作るケアの哲学
2025.06.03 |投稿者:神内秀之介
介護の現場では、利用者さんやご家族、同僚と向き合う中で、感情が高ぶる瞬間が訪れることがあります。それがストレスとなり、ついつい感情的に振る舞ってしまうことも。しかし、冷静な対応は信頼関係を築くための大切な要素です。感情的になることを防ぎ、穏やかに物事を対処するには、どうすれば良いのでしょうか?ここでは、心に余裕を持つためのコツをご紹介します。
- 「深呼吸」でひと呼吸置く
感情が高ぶりそうな時、一番簡単で効果的なのが「深呼吸」です。怒りや不安を感じた時、私たちの体は無意識に呼吸が浅くなります。そんな時こそ、意識的に呼吸を整えましょう。「吸う」よりも「長く吐く」ことを意識してみてください。 これだけで、心拍数が落ち着き、自然と冷静さを取り戻せるようになります。何かに反応する前に「まずは一呼吸」、これを習慣にするだけで感情のコントロールがしやすくなります。 - 感情を「観察」してみる
感情的にならないためには、自分の感情に気づき、それを「観察」する意識を持つことが大切です。例えば、心の中で「今、私は怒りを感じている」「イライラしている」と、自分の感情を冷静に言葉にしてみましょう。これは、感情に流されるのを防ぎ、自分と感情を切り離して考える手助けをしてくれます。「感情の主人は自分である」という意識を持つことで、落ち着きを取り戻すことができるのです。 - 視点を切り替えて物事を見つめる
感情的になる時、多くの場合「自分の視点」だけにとらわれています。ですが、視点を少し変えて相手の立場に立って考えてみると、状況を違った角度から見ることができます。例えば、利用者さんから厳しい言葉を受けた時、「この人は何を伝えたいのだろう?」と問いかけてみることで、その背景や感情に気づくことができるかもしれません。「相手の視点から見たらどうだろう?」と考える習慣は、冷静な対応の鍵となります。 - 完璧を求めない余裕を持つ
介護の現場では、「失敗してはいけない」「すべて完璧に対応しなければ」と自分を追い詰めてしまうことがあります。しかし、この「完璧主義」が自分を感情的にさせる原因にもなりがちです。「少しくらい上手くいかなくても、それも人間らしさ」と自分に許可を与えることで、気持ちに余裕が生まれます。「良い意味でのあきらめ」を持つことが、感情をコントロールするコツです。 - 「振り返り」を習慣にする
感情が高ぶった時、その場で完全に落ち着くのは難しいこともあります。そんな時は、後からその出来事を振り返る時間を持ちましょう。「なぜ感情的になったのか?」「どうすればもっと良い対応ができたのか?」と冷静に分析することで、自分のパターンに気づき、次回に活かすことができます。感情を抑えるだけでなく、感情から学び、成長する姿勢を持つことが、冷静さを身につける近道と言えます。
まとめ
感情的にならないためのコツは、「自分の感情を認め、コントロールする力を養うこと」です。深呼吸をして心を整え、視点を切り替え、自分を追い詰めすぎない――これらのシンプルな工夫を日々の中で意識することで、冷静な対応が自然とできるようになるでしょう。
