33.地域資源の不足を補うための創意工夫

2025.05.31 ｜投稿者：神内秀之介

「地域資源が足りない…どうしたらいい？」

こんにちは、新人介護支援専門員の皆さん！
ケアマネージャーとして働き始めると、地域ごとの介護資源の違いや不足に直面することがあるかもしれません。
「この地域には施設が少なくて空きがない…」「訪問介護のスタッフが足りずにサービスが提供できない…」など、想定外の困難に戸惑うこともありますよね。

そんな時こそ、創意工夫と柔軟な発想が求められます！今回は、地域資源の不足をどう補い、利用者さんのニーズを満たしていくか、そのヒントをお伝えします。

1. なぜ地域資源が不足するのか？状況を理解しよう

まず、地域資源が不足する主な理由を把握しておきましょう。

① 高齢化の進展と需要の拡大
超高齢化社会の中で、介護サービスを必要とする人が増えている一方、供給が追いついていない地域も多く存在します。

② 地域ごとの偏り
都市部と地方では、介護施設や人材の数に大きな差があります。小規模な町や村では、訪問介護やデイサービスなどの基本的なサービスでさえ不足している場合があります。

③ 介護人材の不足
介護現場の人手不足は、地域資源を有効活用する上で大きな課題となっています。スタッフが足りないために、サービス提供が制限されることが少なくありません。

2. 地域資源の不足に対応するための創意工夫

① 既存の資源を最大限に活用する
地域資源が限られている場合、まずは「今あるものをどう活かせるか」を考えてみましょう。

提案例：
- デイサービスの空き時間や未利用のスペースを活用して、新たな活動やプログラムを提案する。
- 複数の利用者さんで訪問サービスをシェアすることで、効率的な時間配分を図る。

② 地域住民やボランティアを巻き込む
地域の中には、行政や施設だけでなく、住民自身が力になれる場合もあります。

実践例：
- 地域のボランティアグループに働きかけ、高齢者の見守りや買い物支援を依頼する。
- 地域住民と連携して、散歩や趣味活動を組織することで、孤独を和らげる機会を作る。

③ 多職種連携を強化する
地域包括ケアシステムを活用し、医療、福祉、介護分野の多職種と密に連携することで、効率的な支援が可能になります。

具体例：
- 医師や訪問看護師と相談し、医療的サポートを補う形で介護サービスを提供。
- 社会福祉協議会や地域包括支援センターと協力して、新たな地域資源を発掘する。

④ デジタル技術を活用する
ITツールやオンラインサービスを活用することで、新しい形の支援が可能になります。

提案例：
- オンラインでの見守りサービスや、スマホを使ったコミュニケーションツールを導入する。
- 遠方に住む家族と連携する際にも、デジタルツールを活用して情報共有をスムーズに行う。

⑤ 利用者さんの力を引き出す
利用者さん自身が持っている力を活かすことで、地域資源の不足をカバーできる場合もあります。

実践例：
- 料理が得意な利用者さんに、デイサービスで簡単な調理をお願いすることで生活意欲を高めると同時に、他の利用者さんとの交流を促進。
- 元役員経験者や趣味活動が豊富な利用者さんに、地域活動の担い手として活躍してもらう。

3. 実例：地域資源を補った創意工夫の成功例

事例：訪問介護が不足している地域での対応

背景：山間部に住む70代女性Eさん。訪問介護のスタッフが不足しており、掃除や買い物の支援を受けることが難しい状況だった。
ケアマネの対応：
- 隣近所の住民に協力を依頼し、週1回の買い物代行を実現。
- 社会福祉協議会が運営する地域ボランティアの協力を仰ぎ、見守り活動を開始。
- 利用者さん自身ができる軽作業を分担し、家事の負担を軽減。
結果：地域資源を最大限活用することで、Eさんは安心して自宅生活を続けることができた。

4. 新人ケアマネへのアドバイス：創意工夫のために意識したいこと

① 地域を「よく知る」ことから始めよう
地域の特色や資源を把握することが第一歩です。地域包括支援センターや自治体、社会福祉協議会と連携して、利用可能な資源を網羅的に調べてみましょう。

② 柔軟な発想を大切に
「こうあるべき」にとらわれず、利用者さんや地域の持つ力を最大限に活用する柔軟な姿勢を持ちましょう。

③ 必要なら新しい仕組みを提案する
不足を補うために、地域住民やボランティア、行政を巻き込んで、新たな活動や仕組みを作ることを提案してみるのもケアマネの役割です。

5. 今日のまとめ：地域資源不足を補う工夫のポイント