31.利用者とその家族の意見の調整術
2025.05.29 |投稿者:神内秀之介
「利用者と家族の意見が食い違ってしまう…そんな時どうする?」
こんにちは、新人介護支援専門員の皆さん!
ケアマネージャーとして働き始めたばかりの頃、利用者さんとその家族の意見が食い違う場面に遭遇し、「どう対応すればいいんだろう…」と悩んだことはありませんか?
例えばこんなケース:
- 利用者さん:「自宅で暮らし続けたい」
- 家族:「施設に入った方が安心だと思う」
双方の意見がぶつかると、どちらを優先すべきか迷うこともありますよね。ですが、ケアマネージャーには「調整役」としての大切な役割があり、うまく対応することで両者の満足度を高めることができます!
今回は、そんな場面で役立つ調整術のコツをお伝えします。
1. 利用者と家族の意見の食い違いが生まれる理由を知る
まずは、なぜ意見の食い違いが起きるのか、その原因を理解しておくことが大切です。
① 価値観や優先順位の違い
利用者さんは「自分らしさ」を大切にしたいと思う一方で、家族は「安全第一」を考えることが多いです。
- 利用者さん:「できることは自分でしたい」「慣れた生活を変えたくない」
- 家族:「転倒や急病が心配」「介護が負担になってきた」
② 情報のギャップ
利用者さんと家族が介護サービスや制度について正確な情報を共有できていない場合、誤解や不安が生じやすくなります。
③ 感情的な対立
家族が介護に疲れてイライラしていたり、利用者さんが「迷惑をかけたくない」と自己主張を抑えてしまったりすると、意見がすれ違う原因になります。
2. 利用者と家族を調整するための3つの基本ステップ
① 利用者さんの意思を「丁寧に」聴く
ケアマネージャーとしてまず大切なのは、利用者さんの自己決定権を尊重することです。
- 使用するキー質問:
- 「どんな生活を続けていきたいですか?」
- 「今、一番不安に思っていることは何ですか?」
利用者さんの希望を聞き出すには、感情に配慮しながら丁寧に傾聴することがポイントです。
② 家族の気持ちを理解する
家族もまた、利用者さんを大切に思うがゆえに思いや不安を抱えています。それをしっかり受け止めることで、家族の安心感を高めることができます。
- 使用するキー質問:
- 「介護で一番大変だと感じていることは何ですか?」
- 「どのようにサポートしたら、少し負担が軽くなりますか?」
家族の声を「否定せずに受け入れる」姿勢が信頼関係の第一歩です。
③ 両者の共通点を探す
意見の食い違いがある場合でも、利用者さんと家族の間には必ず共通の願いがあります。それは、**「利用者さんが安心して暮らせること」**です。この共通点を基に、両者が納得できる妥協点を見つけ出しましょう。
- 例:
- 利用者さん:「自宅で暮らしたい」
- 家族:「施設の方が安心」
- → 妥協案:「デイサービスを利用しながら自宅生活を続ける」
3. 調整に役立つ具体的なテクニック
① 情報共有を丁寧に行う
ケアマネージャーは、介護サービスや制度について詳しい情報を提供し、メリット・デメリットを両者に分かりやすく説明する役割も担います。
- 例:訪問介護やデイサービスの仕組みを家族に説明し、利用者さんの「自宅生活維持」の可能性を示す。
② 第三者を交えた話し合いを設定する
利用者さんと家族だけでは話が進まない場合、地域包括支援センターの職員や多職種(医師・看護師)を交えた家族会議を開くのも有効です。客観的な意見が加わることで、冷静に話し合える環境が整います。
③ 小さな成功体験を積み重ねる
両者の意見を調整する際、「小さいことから試してみる」ことで納得感を得られる場合があります。
- 例:まずは週1回のデイサービスを利用し、少しずつ回数を増やす。
④ 感情に寄り添い、焦らず進める
調整が難航する場合でも、感情的にならず、一歩ずつ信頼を積み重ねることが大切です。利用者さんや家族にとっては大切な「生活」に関わる話題ですので、急がずじっくり進めましょう。
4. 実例:意見調整がうまくいったケース
ケース:80代女性Bさん(要介護2)の場合
- 背景:Bさんは「自宅で暮らしたい」と希望していましたが、家族は「転倒や急病が心配だから施設が良い」と主張していました。
- ケアマネの対応:
- Bさんに「どの部分が一番不安なのか」を聴取し、安心感を得るために訪問介護サービスを導入。
- 家族には「在宅生活をサポートする具体策」を提示し、訪問診療や緊急時対応デバイスの導入を提案。
- ケアマネが定期的に家族に報告を行い、「在宅生活が維持できている状況」を共有。
- 結果:Bさんは自宅での生活を安心して続けることができ、家族も不安が軽減された。
5. 新人ケアマネへのエール
新人ケアマネージャーの皆さん、意見調整が難しい場面に直面すると、最初は戸惑うことも多いかもしれません。でも大丈夫!利用者さんや家族の気持ちにじっくり寄り添い、少しずつ調整していけば、きっと良い結果につながります。
今日のまとめ:意見調整術の基本ポイント
- 利用者さんの希望を丁寧に聴き、自己決定権を尊重する
- 家族の気持ちや不安を理解し、感情に寄り添う
- 共通の目標を見つけ、小さな妥協点から進める
- 情報共有や第三者のサポートを活用する
- 焦らず、一歩ずつ解決に向けて進める
最後にひとこと!
「意見がぶつかる時こそ、ケアマネージャーの力を発揮するチャンス。」
新人ケアマネージャーの皆さん、利用者さんと家族が満足する支援を目指して、心を込めた調整を続けていきましょう。その努力が利用者さんの笑顔と家族の安心感につながります!
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