30.地域包括ケアシステムとケアマネジメント


2025.05.28 |投稿者:神内秀之介

「地域包括ケアシステム」って、ケアマネの仕事とどう関わるの?

こんにちは、新人介護支援専門員の皆さん!
「地域包括ケアシステム」という言葉、福祉の現場で何度も耳にしますよね。だけど、「一体どういう仕組みで、自分の仕事にどう影響するの?」と、まだピンと来ない方もいるかもしれません。

地域包括ケアシステムは、高齢化社会が進む中で、高齢者が住み慣れた地域で安心して生活を続けられるように支えるための仕組みです。そして、ケアマネージャーはその中心で重要な役割を担う存在です。

今回は、地域包括ケアシステムの基本から、ケアマネとして何を大切にすれば良いのか、一緒に考えていきましょう!


1. 地域包括ケアシステムとは?

まずは、地域包括ケアシステムの基本をおさえましょう。このシステムは、「自宅や地域での生活を最期まで続けられる仕組み」を目指して作られています。


① 地域包括ケアシステムの構成要素
地域包括ケアシステムは、以下の5つの要素を軸にしています:

  • 住まい:自宅やサービス付き高齢者向け住宅など、安全で安心な住環境の提供。
  • 医療:訪問診療やかかりつけ医による医療支援。
  • 介護:訪問介護、デイサービスなど、介護サービスを利用したサポート。
  • 予防:介護予防サービスや運動・栄養改善など。
  • 生活支援:地域住民による見守りや支援活動。

これらの要素が連携することで、高齢者が住み慣れた地域で安心して生活できる環境を作っています。


② 地域包括ケアシステムが必要な理由
日本では高齢化が進み、2025年までに約3人に1人が65歳以上になると予測されています。この中で、高齢者一人ひとりが「その人らしい生活を地域で続けられる」仕組みが求められているのです。


2. ケアマネージャーの役割:地域包括ケアシステムの“調整役”

地域包括ケアシステムを支えるために、ケアマネージャーが欠かせない理由。それは、利用者さん、家族、医療・介護の専門職、地域住民との架け橋となる存在だからです。


① 利用者さんと家族の相談窓口に
利用者さんや家族がどんなサービスを使えばいいのかわからないとき、ケアマネージャーが相談を受け、適切なアドバイスを提供する役割を果たします。

  • 例:「退院後、自宅生活を続けたい」という希望に対して、訪問介護やリハビリを提案。
  • 例:家族の介護負担が大きい場合、ショートステイやデイサービスを活用したプランを作成。

② 各サービスや多職種との連携を調整
地域包括ケアシステムでは、多職種が協力しあうことが前提です。例えば、医師、看護師、ヘルパーが同じ利用者さんを支援する場合、ケアマネージャーはそれぞれの役割を調整し、スムーズな連携を図る役割を担います。

  • 例:医療面での状態が不安定な場合、訪問看護と密に連携を取りながら適切なケアプランを作成。

③ 地域資源の活用をコーディネート
地域包括ケアシステムの中には、公的な施設や地域住民のサポートなど、さまざまな「地域資源」が含まれます。ケアマネージャーとして、それらを適切に選び、利用者さんに合った支援を届けることが大切です。

  • 例:一人暮らしの高齢者が孤独を感じている場合、地域のサークルやボランティア活動を紹介して社会的つながりを作る。

3. 実例:地域包括ケアシステムを活かした支援の成功例

事例:要介護3の男性Aさん(80代・独居)のケース

  • 背景:Aさんは退院後、自宅で生活を続けたいと希望していました。しかし、足腰が弱り、日常生活の多くで支援が必要な状況でした。家族は遠方に住んでおり、日常的な介助が難しい状態。
  • ケアマネの対応
    • 訪問介護を導入し、掃除や洗濯、食事準備をサポート。
    • 週2回のデイサービスで入浴支援と社会的交流を提供。
    • 訪問診療と訪問看護を組み合わせ、医療的な不安を解消。
    • 地域の見守りサービスを活用し、緊急時の対応窓口を確保。
  • 結果:Aさんは安心して自宅生活を続けられ、社会的孤立も改善されました。

4. 地域包括ケアシステムを活かすための新人ケアマネへのアドバイス


① 地域を知ることから始めよう
まずは、自分が担当している地域の特徴や資源を把握することが重要です。地域包括支援センターや社会福祉協議会、医療機関などに訪問して、施設やサービス内容を詳しく聞いてみましょう。


② 多職種との信頼関係を築く
地域包括ケアシステムでは、医療・介護・福祉の多職種が協力し合います。普段から積極的にコミュニケーションを取り、信頼関係を築いておくと、いざという時にスムーズに連携が取れます。


③ 利用者さんの希望を最優先に考える
制度やサービスを活用する際も、利用者さん自身の希望が何なのかを大切にしましょう。その希望をもとに、できるだけ柔軟にシステムを活用することが、ケアマネージャーとしての腕の見せどころです。


5. 今日のまとめ:地域包括ケアシステムとケアマネジメント

  • 地域包括ケアシステムは、高齢者が住み慣れた地域での生活を支えるための仕組み。
  • ケアマネージャーは、利用者さん、家族、多職種、地域資源をつなぐ調整役として重要な役割を担う。
  • 地域資源を把握し、多職種と協力することで、利用者さんに最適な支援を提供できる。
  • 利用者さんの希望を最優先に、柔軟なプランニングを心がけよう!

最後にひとこと!

「地域包括ケアシステムとは、高齢者の生活を支える大きな輪。そして、ケアマネージャーはその輪をつなぐ中心的な存在。」

新人ケアマネージャーの皆さん、まずは地域を知り、たくさんの人とのつながりを作ることから始めてみましょう。その一歩一歩が、きっと利用者さんの安心と笑顔につながります!

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