20.ソーシャルサポート理論とその実用性


2025.05.18 |投稿者:神内秀之介

「ソーシャルサポート理論」って何?

こんにちは、新人介護支援専門員の皆さん!
ケアマネージャーとして日々利用者さんと向き合う中で、「この人が少しでも安心して生活できるように支援したい」と思うことがしばしばありますよね。でも、支援を考える上で、「一人で全てを抱え込んでしまう」ことは避けたいところです。

そんな時に役立つのが、「ソーシャルサポート理論」です。
ソーシャルサポート理論とは、「人は他者や環境からの支援やつながりによって、安心感や生きがいを感じられる」という考え方
に基づいています。この理論をケアマネジメントに取り入れることで、利用者さんの生活をより豊かにする方法が見えてきます!

今回は、このソーシャルサポート理論について、ケアマネの現場でどう活かせるかを解説していきます。


1. ソーシャルサポート理論の基本的な仕組み

ソーシャルサポート理論は、支援を以下の4つのカテゴリに分けて考えます:


① 情緒的サポート(Emotional Support)

  • 愛情、共感、心の支えを提供する。
  • 例:「利用者さんの気持ちを理解し、共感する」「孤独感を和らげる会話をする」。

② 実際的サポート(Instrumental Support)

  • 実際の生活を支えるための具体的な助け。
  • 例:「掃除や買い物のサポート」「食事や移動などの具体的な介助」。

③ 情報的サポート(Informational Support)

  • 必要な情報や知識を提供する。
  • 例:「地域の福祉サービスの紹介」「介護保険制度についての説明」。

④ 評価的サポート(Appraisal Support)

  • 自信や自己効力感を支えるフィードバック。
  • 例:「それは素晴らしい判断ですね」「自分でできたことを褒めてあげる」。

これら4つのサポートをバランスよく提供することで、利用者さんが心身ともに安定し、自立した生活を送るための土台が整います。


2. ソーシャルサポート理論をケアマネジメントに活かすコツ


① 利用者さんの「必要なサポート」を見極める
ソーシャルサポートは、万人に同じ方法で提供すれば良いというものではありません。利用者さん一人ひとりの状況やニーズに合わせた支援を考えることが重要です。

  • 例1:一人暮らしの高齢者Aさん
    → 情緒的サポート(孤独感を和らげる会話や地域活動の紹介)が大切。
  • 例2:認知症の進行があるBさん
    → 実際的サポート(訪問介護やデイサービスの活用)が重要になる。

② 家族や地域資源との連携を強化する
ソーシャルサポート理論では、「利用者さんを支えるのは一人ではなく、家族・地域・多職種が連携して行う」ことが前提です。ケアマネージャーとして、以下のような架け橋の役割を果たしましょう:

  • 家族と連携して役割を分担。
  • 地域のボランティア団体やサークルを紹介して利用者さんのつながりを広げる。
  • 医療や福祉の専門職と情報交換をしながら、利用者さんの状況に合わせた支援を行う。

③ 「見えないサポート」も意識する
情緒的サポートや評価的サポートは、目に見えにくいものですが、利用者さんの気持ちに大きな影響を与えます。
例えば:

  • 利用者さんが「自分なんて何もできない」と語ったときは、「でも、〇〇ができて素晴らしいですよ」と肯定的なフィードバックを伝える。
  • 日常的な会話を増やし、利用者さんが「話を聞いてもらえている」と感じる瞬間を増やす。

3. 実際の支援におけるソーシャルサポートの成功例


事例:80代女性Cさん(独居・要介護2)の場合

  • 背景:Cさんは一人暮らしで、買い物や掃除が負担となり、外出機会も減少。孤独感から気分が落ち込むことが増えていた。
  • ケアマネのアプローチ
    • 情緒的サポート:定期的に訪問し、日常の不安や悩みに耳を傾けた。
    • 実際的サポート:訪問介護を導入し、家事負担を軽減。
    • 情報的サポート:近くのデイサービスを紹介し、外出機会を提供。
    • 評価的サポート:「デイサービスで得意な手芸を披露した話」を褒め、自信を促進。
  • 結果:生活の負担が軽減し、デイサービスで友人ができたことで孤独感が和らぎ、笑顔が見られるようになった。

4. 新人ケアマネに向けたソーシャルサポート実践のヒント


① 小さなサポートでも大きな力になる
ソーシャルサポート理論は、小さな支援が積み重なって利用者さんの生活を大きく変えるという考え方に基づいています。「会話を増やす」「褒める」といった日常的なアプローチも、利用者さんにとっては大きな支えになります。


② サポートのバランスを意識する
「実際的サポート」に偏ると、利用者さんが「されてばかり」と感じてしまうこともあります。情緒的、評価的サポートとのバランスを取ることで、利用者さんの主体性を尊重できます。


③ 自分自身も「ソーシャルサポート」を活用する
ケアマネージャー自身も孤軍奮闘せず、先輩や同僚、多職種と相談しながら支援を進めましょう。あなた自身が支えられることで、より良い支援が提供できます。


5. 今日のまとめ:ソーシャルサポート理論の活用ポイント

  • ソーシャルサポートは4つの種類がある:情緒的、実際的、情報的、評価的サポート。
  • 利用者さんのニーズに応じて適切なサポートを提供することが大事。
  • 家族や地域、多職種と連携し、「支援のネットワーク」を構築することがカギ。
  • ケアマネ自身も周囲のサポートを活用し、無理せず支援を進める。

最後にひとこと!

「ソーシャルサポートは一人でできないことをみんなで支える力。」

新人ケアマネージャーの皆さん、焦らず少しずつ、利用者さんを取り巻く支えの輪を広げていきましょう。その輪が、利用者さんの安心と笑顔を生む力になります!

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