45.介護のトップマネジメント


2025.05.17 |投稿者:神内秀之介

介護業界におけるトップマネジメントは、ただ組織を統率するだけでなく、それぞれのスタッフや利用者さんが持つ「多様性」を尊重し、活かすことが求められます。フランスの哲学者ジル・ドゥルーズが説いた「差異」や「リゾーム」の考え方は、介護現場のトップマネジメントにおいて、多様性を価値に変え、組織を力強く成長させる新たな視点を示してくれます。

「差異」を尊重するトップマネジメント
ドゥルーズは、「存在とは差異である」と述べました。これは、すべての人が異なるバックグラウンドや能力、価値観を持ち、それこそがその人ならではの存在価値を形成しているという考え方です。介護の現場でも、スタッフ一人ひとりの「差異」を理解し、それを活かすことがチーム全体の力を引き出す鍵になります。たとえば、経験豊富なベテラン職員の知恵、新人スタッフのフレッシュな視点、パート職員の柔軟な働き方――すべてが「異なる」からこそ、それぞれが欠かせない存在となるのです。

「リゾーム型」の組織づくり
ドゥルーズが重視する「リゾーム」とは、一つの幹から枝が伸びる樹木形ではなく、根が複雑に絡み合い、多方向に広がる構造を指します。介護現場のトップマネジメントにおいても、これまでの「トップダウン型」のアプローチを超えた、「リゾーム型」の組織づくりが重要です。具体的には、指示を一方的に与えるのではなく、現場の声を拾い上げ、横のつながりを重視しながら、多方向からの意見やアイデアを取り入れる仕組みを作ること。こうした柔軟で多層的な組織は、変化の多い社会や業界環境の中でも強さを発揮します。

「欲望する機械」としての組織
ドゥルーズの「欲望する機械」という概念は、常に新たな差異を生み出し、変化し続ける個人や社会システムの在り方を表しています。介護現場のトップマネジメントもまた、「現状維持」を目指すのではなく、スタッフや利用者さんのニーズに応じて柔軟に変化し、成長し続ける組織を目指すべきです。たとえば、新しいケア技術の導入やICT化の推進、働きやすい環境づくりなど、変化を恐れず「もっと良いもの」を追求することで、組織全体が活性化していきます。

まとめ
ドゥルーズの哲学が教えてくれるのは、トップマネジメントにおいて「多様性を活かす視点」と「柔軟で変化に対応できる組織づくり」の重要性です。「差異」を尊重し、リゾーム型のつながりを育てることで、介護現場はより活気ある場所へと成長していきます。


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