43.介護現場のリカレント教育とリスキリング
2025.05.15 |投稿者:神内秀之介
介護業界では、技術の進化や社会環境の変化に対応するために、リカレント教育(学び直し)やリスキリング(新しい技能の習得)がますます重要になっています。しかし、日々の業務に追われる中で、「今さら学び直すなんて」「新しいスキルを習得するのは難しい」と感じてしまうこともあるかもしれません。そんな時、古代中国の哲学者・荀子の教えが、学びの意義を改めて考えるヒントを与えてくれます。
「性悪説」から見る学びの重要性
荀子の「性悪説」とは、人間の本性は欲望や本能に左右されやすいものであり、善や秩序を実現するには教育が必要だという考え方です。介護現場に置き換えると、「現状維持ではなく、より良いケアや働きやすい環境を実現するためには、学び続けることが欠かせない」ということに通じます。リカレント教育やリスキリングは、新たな知識やスキルを身につけることで、介護の質を高め、利用者さんにとってもスタッフにとってもより良い現場を作るための手段です。
「礼」で秩序を保ちながら成長する
荀子は、人間の欲望を抑え、秩序を保つためには「礼」が不可欠であると主張しました。介護現場では、リカレント教育やリスキリングの過程で、個々の学びが職場全体の調和を乱さないようにすることも大切です。例えば、新しい技術を学んだスタッフが「これが正しい」と一方的に主張するのではなく、同僚や利用者さんとの関係性や現場の特性を尊重しながら、新たなスキルを共有していく――これが「礼」に基づいた学びの実践です。秩序の中での成長が、個人と職場全体の両方を豊かにします。
「知識と技能」が未来を切り開く
荀子は、「知識と技能の修得が人間を善に導く」と考えました。介護現場でも同様に、新しい知識と技能を取り入れることが、より良いケアの実現に繋がります。リスキリングでは、ICTを活用した記録管理や見守りシステム、最新のケア手法などを学ぶ機会が増えています。これらを学び、自分の介護技術に取り入れることで、現場の効率化や利用者さんの満足度向上が期待できます。また、リカレント教育を通じて、自分自身のキャリアをより豊かなものにすることも可能です。
まとめ
荀子の哲学が教えてくれるのは、「学び続けることの重要性」と「礼を重んじた成長の在り方」です。リカレント教育やリスキリングは、現場に新しい風を吹き込み、個々の成長と現場全体の発展を促すものです。忙しさに流されるのではなく、学び直しや新しいスキルの習得を積極的に取り入れてみましょう。
