41.人間の「善」と「成長」に基づくリーダーシップ


2025.05.13 |投稿者:神内秀之介

介護職での部署異動や昇進は、スタッフ一人ひとりの成長を促し、キャリアを広げる大切な機会です。しかし、新しい環境や責任に対する期待や不安が入り混じり、「本当に自分にできるのだろうか?」と悩むこともあるでしょう。そんな時、古代中国の哲学者・孟子の「性善説」や「四端説」、そして「王道政治」の考え方に目を向けると、成長へのヒントを見つけることができるかもしれません。

「性善説」で自分を信じる
孟子が説く「性善説」とは、人間の本性は善であり、誰もが他者に良い影響を与える力を持っている、という考え方です。部署異動や昇進で新しい役割を担う時、「自分にリーダーとしての力があるのだろうか」と不安に思うこともあるかもしれません。しかし、孟子の性善説を信じるなら、私たちは本来、誰もが善なる影響力を持ち、他者と調和しながら成長できる可能性を備えています。まずはその内なる力を信じ、一歩を踏み出してみましょう。

「四端説」で自分の成長を促す
孟子は「四端説」を通じて、人間には生まれながらに「善を育てるヒント」が備わっていると述べました。この「四端」には以下のような意味があります:

惻隠(そくいん):他者を思いやる気持ち(→「仁」へと成長)

羞悪(しゅうお):悪を憎み、正義を求める気持ち(→「義」へと成長)

辞譲(じじょう):謙虚さと譲り合う気持ち(→「礼」へと成長)

是非(ぜひ):正しい判断をする気持ち(→「智」へと成長)

異動や昇進は、これらの「四端」を育てる絶好の機会です。新たな環境でチームを思いやり(惻隠)、正しい判断を下し(是非)、謙虚に周囲と協力し(辞譲)、正義感を持って行動する(羞悪)。これを意識することで、単に役職が変わるだけでなく、内面的なリーダーシップが育まれていきます。

「王道政治」でリーダー像を考える
孟子が説いた「王道政治」とは、権力を振りかざすのではなく、仁義を重んじたリーダーシップの在り方です。介護の現場でも、部署異動や昇進によってリーダーの立場を担う際、自らの利益や効率だけを求めるのではなく、常にチームや利用者さんのために「何が最善か」を考えることが求められます。スタッフ一人ひとりの声を大切にし、共に働く仲間を支える姿勢こそが、孟子のいう「仁義」に基づいたリーダーシップであり、職場全体の信頼を築く基盤になるのです。

まとめ
孟子の哲学が教えてくれるのは、人間は本来「善なる力」を持っており、それを育てることで、より大きな役割を担える存在になる、ということです。部署異動や昇進は、自分自身の「四端」を育てる大きなチャンスであり、誰もが「王道政治」のようなリーダーシップを発揮できる可能性を持っています。


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