38.経験のある介護職員の採用


2025.05.10 |投稿者:神内秀之介

介護業界では、経験豊富なスタッフを採用することは職場全体のスキルアップや利用者さんへのケアの質向上に大きく貢献します。しかし、その採用基準や方法について、時に「この人を採用すべきかどうか?」と迷うこともあるでしょう。そんな時、ジョン・ロールズの哲学、「無知のヴェール」と「正義の原理」に目を向けると、公平で納得のいく判断を導くためのヒントが見えてきます。

「無知のヴェール」で先入観を取り払う
ロールズが提唱した「無知のヴェール」とは、採用過程において、候補者の性別や年齢、過去の職業や家庭状況などの情報を意識的に排除して考えることを意味します。介護現場での採用においても、こうした先入観や偏見に影響されるのではなく、「この候補者が職場にとって、そして利用者さんにとってどれだけ貢献できるのか?」という純粋な視点で判断することが大切です。この「無知のヴェール」の視点を持つことで、偏りのない公平な採用が実現します。

第一原理:自由な権利を平等に
ロールズの正義の第一原理は、「私たち個人は、自由な権利を平等に持つべきである」というものです。採用においてこれをどう活かすか――それは、どんな候補者にも平等なチャンスを提供することです。たとえば、過去に大企業で働いていた人と地域の小規模施設で経験を積んだ人とでは、経歴が異なりますが、その経験の中にあるスキルや可能性は同じく尊重されるべきです。それぞれのバックグラウンドを公平に評価することで、どんな環境でも自由に活躍できる土壌を作り上げることができます。

第二原理:最も不利な人々にとって有利な形で
ロールズの第二原理は、「不平等は、最も不利な立場の人々にとって有利な形で調整されるべきである」というものです。介護現場での採用においても、経験豊富なスタッフを迎えることで、職場全体のスキルや知識が向上し、結果的に「最も不利な立場の人々」、つまり利用者さんや新しいスタッフが大きな恩恵を受けることが期待されます。経験者が職場における「頼れる存在」として活躍し、新人や未経験者をサポートすることで、チーム全体が強化されるのです。

まとめ
ジョン・ロールズの哲学が教えるのは、採用という場面で「無知のヴェール」をかぶることで偏見を取り払い、正義の原理に基づいて公平な判断を下す必要性です。そして、経験豊富なスタッフを採用することは、最終的に職場全体や利用者さんにメリットをもたらすものです。


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