36.「成長と活動」を見据えた評価の在り方


2025.05.08 |投稿者:神内秀之介

介護の現場では、人事考課がスタッフの成長や職場の活性化に大きな影響を与えます。しかし、どのように評価すべきかが明確でないと、画一的な方法に陥ったり、スタッフのモチベーションを下げてしまうこともあるでしょう。そんな時、アメリカの哲学者ジョン・デューイの考え方が、より効果的で未来を見据えた人事考課のヒントを与えてくれます。

「実際に効果をもたらすもの」が真理
デューイは、「人生において実際的に効果をもたらすものが真理である」と考えました。同じように、人事考課においても、表面的な数字や形式に囚われるのではなく、実際に職場や利用者さんにとってプラスになる行動や成果を評価することが重要です。たとえば、日々のケアが丁寧で利用者さんの満足度が高いスタッフ、チーム内で自然とサポートの輪を広げるスタッフ――そうした実際の「効果」を重視した評価をすることで、現場全体が前向きな方向に進むエネルギーとなります。

思考は「環境をコントロールする道具」
デューイはまた、「思考は環境をコントロールするための道具である」と述べています。介護の現場での人事考課も同様に、単なる評価ではなく、「スタッフが成長し、職場環境をより良くするための道具」として活用すべきです。評価を行う際には、「これを通じて職場のどんな課題を解決し、どんな環境を生み出したいのか?」という目的を明確にすることで、人事考課がスタッフの育成や現場の改善につながるツールとして機能するのです。

成長と活動を重視する評価の視点
デューイは、教育の画一性を批判し、「各自の成長と活動に焦点を当てるべき」と主張しました。人事考課でも同じことが言えます。全員に同じ評価基準を押し付けるのではなく、スタッフ一人ひとりの成長のプロセスや日々の活動に目を向けることが大切です。「自分にはどんな課題があるのか」「どんな変化があったのか」を対話を通じて丁寧に掘り下げることで、スタッフ自身が評価を自分事として捉え、次の目標に向けたモチベーションを持つことができます。

まとめ
デューイの哲学は、人事考課を単なる評価の手段ではなく、スタッフの成長と職場環境の改善を促す「道具」として使うことの重要性を教えてくれます。その評価が実際に現場に効果をもたらし、一人ひとりの成長を支えるものとなるよう、個々の活動や成果にしっかり目を向けていきましょう。


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