31.「形相と目的」を活かしたチームケア


2025.05.03 |投稿者:神内秀之介

介護の現場では、スタッフ一人ひとりの力を結集し、利用者さんに最適なケアを提供するために、組織運営とチームケアの重要性が高まっています。しかし、日々の忙しさに追われる中で、「自分たちの役割って何だろう?」「チームとしてうまく機能しているのか?」と迷うこともあるかもしれません。そんな時、古代ギリシャの哲学者アリストテレスの視点が、介護のチームケアを見直す上で役立つヒントを与えてくれます。

形相(設計図)と質料(材料)の関係を考える
アリストテレスは、自然界のすべてのものが、材料である「質料」が設計図である「形相」によって形づくられると説きました。これを介護のチームケアに置き換えると、チームのメンバー一人ひとりが「質料」であり、チーム全体が持つ目的や目標が「形相」と言えます。どれだけ優れたスタッフが揃っていても、チーム全体の目指すべき方向性(形相)が曖昧では、まとまった力を発揮できません。逆に、明確な目標や方針があると、「形相」によって一人ひとりの力が調和し、質の高いケアが実現するのです。

チームの目的を意識する「目的論的世界観」
アリストテレスはすべての物事には目的があると考えました。介護の現場で、チームケアにおける目的とは何でしょうか?それは、利用者さんが安心して生活できる環境を作ることや、スタッフが働きやすい職場を維持することかもしれません。日々の業務で目的を見失いそうになった時こそ、「自分たちの行動はどんな目的に繋がっているのか?」と問い直すことで、無意識に流されるのではなく、本来の使命を思い出すことができます。

因果関係を活かしたチーム作り
アリストテレスはまた、日々の生活は因果関係で繋がっていると述べました。介護の現場でも、小さな行動や決断が、チーム全体や利用者さんに影響を及ぼします。例えば、情報共有が不十分なままだと、ミスやケアの質の低下に繋がる可能性があります。一方で、スタッフ同士が積極的に話し合い、フォローし合う文化が育つと、その連鎖として、利用者さんへのケアも向上します。因果関係を意識しながら、チームの連携を強化することが大切です。

まとめ
アリストテレスが示した「形相と質料」「目的論」「因果関係」の視点を介護現場に活かすことで、チームとしての力が最大限に発揮されます。一人ひとりがチームの目標や目的を共有し、自分の役割を意識することで、個々の力が調和して最高のケアが提供できるのです。


 |  一覧に戻る | 

お問い合わせはこちら

介護経営のコンサルタント顧問契約。
経営者・理事長の経営参謀として、業務効率化から
利用者・入居者獲得まで、
様々な経営のアドバイスを行います。

営業時間:平日火曜日・水曜日・木曜日10時から16時


メールでのお問い合わせ