介護現場での「感情」と「事実」の使い分け方
2025.04.23 |投稿者:神内秀之介
介護の現場では、利用者さんやご家族、同僚との間で意見がぶつかり合うことが少なくありません。そんな時、「感情」を優先しすぎてしまうと、話が進まなかったり、誤解を招いたりすることがあります。一方で、「事実」だけを重視しすぎても、関係性が冷たくなりがちです。このバランスをどう取れば良いのか――そのヒントをヘーゲルの哲学に学んでみましょう。
感情と事実を分けて考えることの大切さ
人間は誰しも感情を持っています。それが人を豊かにし、温かい関係を築く土台になります。しかし、物事を進めるためには、「感情」と「事実」をしっかり分けて考えることが重要です。例えば、利用者さんのケアプランについてスタッフ間で意見が分かれる場合、「私はこう思う」という感想だけではなく、「このデータに基づいてこの方法が有効です」と事実を根拠に議論を進めると、より建設的で納得のいく結論にたどり着けるでしょう。
事実ベースで考える力を鍛えよう
感想を持つのは自由ですが、ヘーゲルが説いたように個人の欲求や感情だけでは、物事は進みにくい場合があります。例えば、「この方法は面倒だ」という感情だけではケアの改善は難しいかもしれません。一方で、「この方法を実践することで事故が減る」という事実を基に議論を進めると、全員が納得した上で行動に移しやすくなります。事実を基にしてどうするべきかを考える力を日々意識的に鍛えましょう。
欲求と労働でつながる人間関係
ヘーゲルの哲学では、人間はお互いの欲求と労働を媒介にして成り立つとされています。介護の現場でも、利用者さんの欲求(生活の質を上げたい、安全に過ごしたい)とスタッフの労働(ケアを提供する)とが結びついています。そしてスタッフ間でも、より良いケアを提供するために、互いの意見や考えを交換しながら関係性が成り立っています。この「媒介」となるプロセスを大切にし、感情を尊重しつつも、事実という共通の基盤を持つことで、より強固な信頼関係を構築できます。
まとめ
介護の現場では、感情を大切にしながらも、物事を進める際には事実を基に判断することが重要です。ヘーゲル哲学が示すように、人はお互いを媒介にしてつながり、進化していくものです。そのつながりを円滑にするために、感情と事実を上手に使い分け、建設的な対話を心がけてみてください。
